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ライブ中の写真や動画撮影って。。

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最近では日本国内でもライブの写真撮影や動画の撮影がOKなところが増えてきた。

 

海外では結構な会場で当たり前のように携帯でパシャパシャ撮っている光景が見られるし、後ろからも前から見ても人の頭と同じくらい携帯が見える。

 

バンドからすれば、CDの売り上げも減る昨今、会場での写真が各SNSにアップされて広まり、興味を持った人達が次の公演へ来てくれることはとっても嬉しいそうで『全然かまわないよ!』と言ってくれる。

 

まぁもちろん、ショーに来ているのに携帯に集中するなんてのはご法度で、いつだったか、ショーの最中にメールや電話をしていた観客が退場させられたり、メンバーに携帯を叩き落とされたりしていたことがニュースになったりした。

 

そのショー最中の撮影について少し思うところがある。

10分以上もショーの動画を撮り続けるというのはどうなのだろうか。

勿論その場所にもよるわけで、ステージ全体を見渡せる位置できちんと当日の主催者に許可を取って撮影している人もいる。また、海外の会場ではその大きさ故いちいち一つずつアップされた動画を取り締まるのが手間だという事もある。

 

海外公演に行った時に私も日本の人がなかなか生身で観る事の出来ないバンドの姿を…と思い動画を撮ったりもするが、あれは当日バンドや担当の人に何秒までなら撮っていいのか、この位置で撮るのは大丈夫か、そもそも動画撮影はOKなのか、をきちんと聞いてから撮ることにしている。

 

個人的に思うのは最前列で長時間の動画撮影はどうなんだろう…、という事。

 

ソールドアウトに近い会場や、最前列に人が押し寄せるような会場で、必死に携帯の画面を見て撮影する人達。携帯の画面を固定するために両手で携帯を持って頭上にあげている。できるだけ前で見たくて前に行ったのに、見えるのが前にいる人の携帯画面…というのはとても悲しい気がする。

そして撮影する側からもそうで、柵の無い会場で最前列にいる人が必死に携帯を挙げていると、ピントや明るさの調整がその度に(手前にある明るい物なので)携帯の画面に合ってしまう事がある。私自身、お客さんの中に入ってぎゅうぎゅうの中あんなデカいカメラを頭上に挙げて撮影するから、一秒でも早くサイドに下がってお客さんにライブを楽しんでほしいと思っている。だから目の前で両手を挙げて必死に写真や動画ばかり撮っている人を見ると、10秒で良いから手を下げてくれ…と思ってしまう事がある。

 

確かに大好きなバンドのメンバーの写真が自分の携帯にあると嬉しい。一生の思い出になると思う。だから絶対撮るなとは言わないし思わない。(もちろん撮影禁止の会場や公演での撮影は論外だけど)ただ、自分の目で見て一緒に歌ったり、楽しんで手を挙げる方がもっと楽しいんじゃないのかな…そう思う。

 

昨年のKNOTFESTの時、Disturbedのステージ中Vo.のドレイマンが『明かりを灯してくれ』と言って"The Sound of Silence"が始まった。しかし、悲しいかな英語を理解していない人達が携帯やライターを掲げた人達を見て一斉に動画を撮りだした景色が、なんとも私にとっては切なかった。他の人が撮るならよくわかんないけど撮らなきゃ、撮っとこう、と私の目の前にいたカップルの女性の方が発言して動画を撮りだしたのも悲しかった。

この日私は普通に観客として観に行って、どうしてもDisturbedが見たくてフロアの前の方に一生懸命行った。でも私の目に映ったのはステージではなく、目の前で『よくわかんないけど凄いね』と言って彼氏に抱きつく女性のアップにした髪型と携帯の画面だった。凄く悔しい気持ちになったのを今でも覚えている。

 

だから私は公演で写真を撮った時にサイン等を入れず、なるべく早めにSNSにアップするようにしている。保存したい人は声を掛けてくれれば全然OKだし、商用目的でなければいくらでも保存して楽しんでもらってかまわない。だから、私ももっといい写真を撮れるように頑張るから、ライブ中は目で見て楽しんでほしいな…心からそう思う。

 

先日、とある公演を撮影した時、ショーの最中にVo.を含めたメンバーの一部が少し不機嫌そうだなと感じていた。すると、どうやら最前列付近で身を乗り出してずっと動画を撮っていた人が居たらしい。明らかに動画を撮ることに集中し、その周りの人がステージが見づらくなるその行動に、憤りを隠せず少し態度に出てしまっていたそう。皆に素晴らしいと思ってもらったり、楽しんでもらえる公演にバンドはしたかっただろう。私自身も撮影する身だがそう思っていた。セキュリティの手の回らないダイバーが出た時は撮影を中断してダイバーを受け止めに行ったり、柵前で撮影するからにはフラッシュの事や立ち上がってカメラを挙げる事についても国内外関わらずちゃんといつも一言断るようにしている。沢山の人の尽力と、出演する人達の最高のパフォーマンス、そして来てくれた人の笑顔が創りあげる空間。それが顔に思わず出てしまうほど嫌だった、と彼らに思わせてしまったのはとても悲しい話だ。

 

同じように、モッシュの中で自己都合しか考えていない人が周りを巻き込み怪我をさせる事や、喧嘩をすることはただの暴力であり公演に関わった人や出演しているバンドにとても失礼だと思う。これは先日Born Of OsirisのギタリストLeeも発言していたことで、

『楽しむのはかまわないけれど誰も怪我をしにライブハウスに来ていないし、俺達はモッシュする人もその場で立って聴いて楽しんでくれる人も、その全員に笑顔になってほしくてショーをやってる。無理矢理暴れて人を巻き込んでしまったらそれはもう暴力だ。絶対にやめてくれ』

本当にこの通りだと思う。

確かに多少は仕方ない、人と人がぶつかれば痛い事はある。それはモッシュをしている人自身が一番わかっているはずだ。わざわざモッシュに当たらないようにと端っこで見ている人のところにまで、人を押してぶつける行為を最近日本の会場で見る事が多い。先日、私自身も小さなライブハウスで壁際で大人しく見ていたのだが、壁に人を叩きつけるようなモッシュで反対側から突き飛ばされてきた人の肘が顔面に直撃し、口の中をパックリ切ってしまった。後頭部を壁に打ち付けないようにガードしたら、自分の顔面には手が追い付かなかった。別に私はその人に対し腹を立てて怒るようなことはしなかったが、他の人がこんな事で巻き込まれて怪我をするのは嫌だな…と、そう思った。

モッシュで暴れるときは皆が家族だ。皆で楽しむんだよ。もし誰かが倒れたら皆で助けるのがマナー』

そんな、ドイツの皆が言うようなオーディエンスでいてほしい。

 

日本のライブでのマナーが話題になる度に

「多少は仕方ない事、それならライブハウスに、日本の会場に行かなきゃいいだろ」

という声も目にする。

私は普段主に海外の会場に行っているので何とも思わないが、もしそれと同じことを日本に来るバンドが思ってしまったらどうだろう?二度と来てくれないことになる。

ガッチガチなルールなんてモッシュには無い。曲を聴いて気分が上がって、自然に体が動いてしまうもの。だからそんな場で誰かに対して"気に食わない"という感情を持つくらいならショーを観て楽しむ事に集中してほしい。

 

 

2月にAfter The Burialの米ツアーのアトランタ公演に行った。

その時柵前での撮影が3曲のみの制限付きだったので、残りは私自身大好きなAfter The Burialのショーを楽しみつつ時折フロアで撮影をしていたのだが、終盤モッシュをしていた大きなアメリカン2人が衝突し、睨み合いになってしまった。他のピットの連中も気づき、皆の動きが止まる。しかしバンドはまだ演奏中、周りも膠着しこのままバンドが気づいたら演奏を中断するんじゃないのか…そんな空気になってしまった。どちらが先に手を出すか…の状態で、2人が私のいるピットの端まで下がってきた。思わず、カメラを首と肩にかけたまま2人の中に割って入ってしまった。

『2人ともやめろよ!頼むから落ち着いて!今まだAfter The Burialショーをやってるから!喧嘩しに来たんじゃないんだろ、後でやるか、今喧嘩したいなら外でやって。After The Burialに失礼だろうが!!』

最後の一言は完全に怒鳴り声だった(苦笑)

この直前、After The BurialのギタリストTrentが亡きJustinの弾いていたグリーンの8弦を弾いていた事もあり、どれだけ彼らが大切な思いを込めてショーをやってきたのかひしひし感じていた。そんな素晴らしいショーの最中に、喧嘩が起きるなんて私は絶対我慢ができなかった。もう殴られてもいいからこの2人が喧嘩するのだけは止めたい、私が鼻血でも出してスッキリしてくれるんならそれでもかまわないと思った。

すると『まぁ2人とも、アツくなんなよ』と、周りで傍観していたピットの皆が2人を引き離してくれたのだ。

『チビの言う通りだ』『お前ホント根性あるな』『最高だよお前』

そう言って皆が私の頭を撫でたり(周りは巨漢のアメリカンモッシャーだらけだった)、グッと親指を立ててウインクしてくれたりした。

それを見た渦中の2人は我に返ったらしい、特に身体の大きかった方の人に『悪かったよ』と言われ、2人はそれぞれ自分の見たい場所へと戻っていった。

私はモッシュの中で移動して撮影する時、サークルピットと同じ方向に走って移動したり『ごめんよ』と言いながら皆の中を移動しフロアから見た目線の写真を撮ったりする。写真の実力で言ったら完全に初心者だし、決して巧い方ではない。だけど、私がファンだったら…きっとここから見た光景がカッコいい!と思う場所で撮りたいと思ってフロアで撮影をしている。無謀だけど根性あるなこのチビ、ナイスワークス!とか言われたりもしたし、周りの奴らが言うには本当に楽しそうに歌いながら撮影をしていたらしい。大事なカメラを降ろしてまで、自分の倍くらいの大きさのある男2人の間に止めに入ったチビを見て皆は結構焦ったそうだ。

フロアがまた通常の空気に戻った後、横にいたお兄さんに『After The Burialの事、本当に大好きなんだね』とにっこりしながら言われた。『うん!大好き!最高だよ!』と私も笑顔で言うと、近くにいた別のおじさんにまた頭を撫でられた(笑)

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最後のアンコールまで、この日の公演は暴れまくるフロアだったにもかかわらず喧嘩は一切起きなかった。ラストでAnthonyが『Justinは俺達の曲の中に、今でも確かに存在しているんだ!』と言った瞬間、フロアにいた人達と一緒に我慢が出来ず『ジャスティィィィイイン!』と叫んだりもした。

 

ライブってそういうものだと思う。日常の事なんか忘れて、目の前から発せられる音に溺れて夢中になる。夢みたいな楽しい空間がそこに広がってる。

私がライブハウスに行き始めた頃、誰も知り合いが居なくても同じ曲で笑顔で手を挙げた隣の人と一緒に楽しむ事ができた。生きる事に一生懸命で友達もほとんどいなかった私に、心から楽しいと思わせてくれ沢山の友人を作ってくれたのがライブハウスだった。だからそんな場所でいがみ合いや、誰かが嫌な思いや悲しい思いをするような出来事が起こらないでほしい。

 

 

携帯に動画を残すといつでも観る事が出来る、写真もいつでも観る事が出来る。それは個々の価値観なのかもしれないけれど、写真や動画を撮る事よりも精一杯楽しんでメンバーの一挙一動や想い、その息遣いを感じてほしい。セットリストを逐一メモしたりする事は必要なのだろうか。あっ、この曲やってくれた!と驚きと喜びがプラスして聴き入る方が楽しいのではないだろうか?

 

極論を言えば、振り返ることのできるカタチに残した思い出はアナタが死んでもきっと残り続ける。SNSにアップした写真や、動画サイトに投稿した動画はずっと残り続けるだろう。でも、死んだ自分自身はもうそれを観る事も思い出すこともきっと無いのだ。

一期一会、そして一生の思い出、そのカタチの残し方は人それぞれ。

写真や動画を撮ることや、セットリストを全て覚えておくことを悪いと言っているのではない。

日本にはまだ浸透しきっていないが、それを残すためにレビューをするライターやカメラマンが"仕事として"公演に参加している。セットリストやMCを必死にメモしながら写真を撮っていると、あっという間に終わってしまう。私は元々の音楽好きが幸いして、ファン目線で観る事が少なくなっても、撮影する大抵のバンドの曲は把握していたりするし、その中で楽しくこの活動をすることができる。でもたまに、ちょっぴりファンの人がうらやましい時もある。構図や記事の書き方や咄嗟のメモや暗記や、ピントが合った写真をメンバー全員分一枚ずつは最低でも撮れているか、レーベルに撮ってくれと頼まれた条件の写真は撮れているか、周りの人の表情や安全はどうか…そんな事は考えずにショーを全力で自分の目で見て楽しめるのだから。

 

皆が。ファンも出演者も関係者も。その皆が楽しく「最高だった!」と心から言える日にしてほしい。オーディエンスの皆の力が無ければ、楽しい最高の公演は成し得ない。だからこそ。ほんの少しの心遣いを一人一人が持つだけで、その日の帰り道に自身の思う事が全く違ってくるはずだ。