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Our Hollow, Our Home "HARTSICK" release hometown show review

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イギリスのロンドンの駅から特急に乗って約一時間半。

4月7日、タイタニック出港の港町でもあるサウサンプトンに、この町出身のメロディックメタルコアバンOur Hollow, Our Homeのショーを観に訪れた。

1stアルバムHARTSICKが各地で話題を呼び、リリース初日にはイギリスのiTunesロックチャートでもいきなり一位を獲得。その彼らのリリースUKツアー、最終公演となる彼らのホームタウンショー。本来はグラスゴーでのショーに参加するつもりだったのだが、彼らから直々に『もしよかったらホームタウンでのショーに来てよ』との連絡があり、こちらの日程に変更する事に。道中、様々な問題が発生したため会場であるTHE JOINERSに到着したのは出番の一時間半前。しかし私自身、この一年で一番楽しみにしていたバンドのショーを目の前で観る事ができる喜びで、それまでの困難が全て吹き飛ぶほど胸がいっぱいだった。

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到着すると笑顔で迎えてくれた彼ら。ユーモアがありメンバー全員の仲がとても良い。小学生のようなやり取りも見せつつ、そのショーへ向かう姿勢はプロフェッショナル。こちらが楽屋へ入るのを躊躇してしまうほどだった。入念にストレッチやウォーミングアップをする姿も、談笑するメンバーもいれば真剣にアドバイスを聞き即座に実践してみるメンバーもいたりと様々。さぁ、ショーが始まるよ!との合図で、私も彼らの後をついてフロアへ。

この日の会場はキャパ200人といったところ。しかしOur Hollow, Our Homeのステージセットが終わる頃には、フロアから後ろのバーカウンターまでが人でびっしりと埋め尽くされていた。

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会場の照明が全て落ちると、甲高い歓声が沸く。そのままアルバムHARTSICKのイントロにもなっているTHE SEA WILL SLEEPが流れた。メンバーは板付きの状態であり、シンセのメロディ以外は全て生演奏。ブレイクダウンに合わせフロントマンConnorのゴリゴリなスクリームが会場に響き渡った。

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曲終わりにそのままConnorが『次の曲はHEISENBERG!』とドスの効きまくった声でコール。『まわれ!まわれ!』の合図で出だしのスクリームパートからサークルピットが起こった。サビではさすがの一言、Tobiasのクリーンは生で観ても実に巧く、会場の空気を包み込むかのよう。Connorが手を左右に振って合図すればファンもそれに続き、"Make some Noise!!"のTobiasの声に反応し一斉に声が上がる。最初の一曲、この時点で十分すぎるほど彼らの実力と魅力が伝わってきた。

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『Holy shit! 今夜のお前らは本当に最高だよ、皆楽しんでるか、後ろの奴らもどうだ?声聞かせてくれ!OK、次の曲は…』Connorの言葉が次の曲名をコールするのとほぼ同時に、こちらも1st EPからI AM THE EULOGYがスタート。『皆大きく飛び跳ねてくれ』とTobiasが煽り、Connorの合図で一斉にフロア全員が大きくバウンス。サビでは長身のConnorが縦横無尽にステージの上で動き回る姿は圧巻。上手にいるGtのJoshの背中にいきなり飛びつき、ニヤッとイタズラっ子のような笑顔を交わす姿も微笑ましい。今年加入したBa.のBobbyもにこやかで息の合ったプレイをJoshと見せる。既にこの時点でダイブも発生し大盛り上がりだ。

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WORMS WOODー!!とConnorが叫ぶ。もちろん次の曲は、昨年公開と同時に大絶賛された新曲Worms Wood。待ってましたと言わんばかりの歓声と共に、フロアは更に大荒れでモッシュの嵐に。ダイブ、クラウドサーフ、何でもありとでもいうようなカオスな状態にも関わらず、ステージにいるメンバーやサイドにいる関係者、そしてファンの一人一人の笑顔が眩しい。Tobiasの泣かせにくるようなクリーンに合わせ大合唱が起こり、サビ後のブレイクダウンパートではフロアが大きく波打つ。『お前ら本当に最高だよ、最高に綺麗な光景だ』Connorの言葉に大きな歓声が上がり、流れてきた曲間のイントロに合わせ自然と手拍子が湧き起こる。Dr.のNickがにこやかに両手を上げ手拍子に合わせてドラムの音を響かせ、ギターのゆったりとした旋律が流れる。

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その静かな演奏をブチ破るかのようにスタートしたのはIF THOSE WERE GUNS, REGGIE BE DEAD、初っ端のシンガロングではちきれんばかりの声が上がる。この流れは個人的にも最高で、カメラを降ろして一緒に熱唱してしまう。ちなみに私はWorms Woodの時点でフロア上手の前方で撮影しており、まさに目の前で曲を堪能した訳だが"最高"という言葉以外の言葉が見つからない。モッシュでぐちゃぐちゃになり、メンバーの撒いた水を頭からかぶり、この時点で全身びしょ濡れな私を、ステージサイドの仲間達やフロアのファンが『お前やべぇな』と笑いながら気遣ってくれる。バンドの人柄か、この日ステージサイドにいたスタッフや手伝いをしていた彼らは専門のスタッフではなく、イギリスのポストハードコアやメタルコアバンドマンばかり。そして暴れまくっているフロアのファンも皆が笑顔で優しい。楽しさと、純粋にOur Hollow, Our Homeの音楽を聴く喜びに満ち溢れた空間が出来上がっていた。

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間髪入れずにLONESHARKがスタート。TobiasのエモーショナルなクリーンからスタートするHARTSICKの実質1曲目ともなるこの曲。疾走感のあるスクリームパートになると、フロアには巨大なサークルが発生。また、この日ステージのサイドや楽屋で彼らをサポートしていたShieldsのGt/Vo.Samがゲストボーカルとして飛び入り参加し、会場からは歓声が。Connorとの見事なスクリームの二重奏も素晴らしい。

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THRONE TO THE WOLVESでは後半の間奏から大サビで『皆、灯りをともしてくれ』の声に反応し、フロアにいるほとんどの人間が携帯やライターの灯りをともし、煌びやかな光景が広がった。熱気のこもった会場内だが、やはり見る人見る人全ての表情が晴れ晴れとしている。

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Throne To The Wovesのゆったりとした曲終わりから、お次はアルバム発売直前のシングル曲にもなったKARMADILLO。またもやダイブの嵐、そして普段ダイブをしなさそうな女性のファンが戸惑いながらも楽しそうにダイブに参加する光景がまた素敵。Joshのニコニコしながら全力で飛び跳ねプレイする姿もまだまだパワーに溢れている。しっかりとバンドを後ろから支えているNickもパワフルなドラミングの中でも笑顔を向けてくれたりと、本当に最高なお祭り野郎である。曲中にはウォールオブデスも発生し、フロアの盛り上がりも一切衰えを見せない。サビのパートでは全員で大きくシンガロング!Connorはスクリームをしていない時でも表情豊かに動き回り、煽り、目を惹きつける。ラストは彼自身がダイブし、大盛り上がりのまま次の曲へ。

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ギターソロからスタートしたのは、新作アルバムのタイトルトラックHARTSICK。前奏の時点で、タカが外れたようにフロアのファンが大きくリズムに合わせジャンプする。彼らの曲のクリーンパートの素晴らしさは言わずもがなだが、この曲はまさしくタイトルトラックに相応しいメロディパートを持つ珠玉の一曲。サビに合わせ大きく手を挙げ大合唱が起きた。

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大歓声と拍手の中、ConnorそしてTobiasが今日来てくれたファンやこのツアーを通してサポートしてくれた仲間達への感謝を述べる。そこから一気に激しいスクリームパートでスタートするFEAST FOR THE CROWSをプレイ。Bobbyもコーラスで参加するパートがあり、彼の加入は必然だったと思わせるほど息もピッタリ合ったステージを見せている。この曲も今回のアルバム収録曲の中では一番最初に披露されていた曲だからだろうか、Tobiasのクリーンに合わせまたもや大合唱が起きる。疲れ知らずのような会場の一体感がとても心地よい。

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そこから再び1st EPからFOR WHAT ITS WORTH。まだまだフロアではモッシュにダイブ、クライドサーフが起き、サポートする仲間達もステージを忙しく動き回っていた。終盤Tobiasの合図でコールアンドレスポンスの掛け合いも起こり、透き通った声が響き渡る。『聞こえねぇぞ!』『もっと!もっとだ!』静かな演奏の中、メンバーの煽りに合わせ更に大きな合唱がフロア中に沸き起こった。

『ラスト!ラスト一曲だ、俺達の最初のMVになったこの曲を。皆全力でぶつかってこい!』

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美しいピアノの音色から、彼らの名を最初に世に知らしめた曲、REST ASSUREDがスタート。まさしくこのショーのラストを締めるにふさわしい、彼らにとって始まりの曲。紡ぎ出す音一つ一つが美しく、そして力強い、Connorのドスの効いた咆哮に合わせ、狂ったようにフロアのファンも叫び暴れ出す。美しいギターのメロディから徐々に盛り上がりを見せる終盤がまた一層壮大。このショーが終わるのが信じられない、きっと誰もがそう思ったのではないかと思う。熱気に溢れ、濃密ながらも、あっという間に過ぎ去ったように感じたこの12曲。Nickのビシリとしたドラミングで曲が締められると、爆発したような拍手と歓声が沸き起こった。

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もちろん、あれだけ盛り上がっておいてアンコールが起きないわけがない。すぐさま起きたワンモア!の声に、メンバーは晴れ晴れとした笑みを浮かべステージへと戻る。再び彼らの口からファンや仲間、家族や関係者の人々への感謝の言葉が述べられた。

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アンコールで演奏されたのはPRIDE LIEONESS。美しいメロディが印象的な、こちらも新作HARTSICK収録の一曲。サビでは再びコールアンドレスポンスも起こり、せわしなくメンバーは飛び跳ね、全力で命を込めた曲をファンへとぶつけていく。そして一秒一秒、ショーは終わりへと近づいていく。鳴らすように奏でるギターの響きとConnorのスクリームの融合、そこから囁くようなTobiasの美しいメロディで静かに、しかし再び大歓声と割れんばかりの大きな拍手に包まれ、メンバーはステージを後にした。

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ピックやドラムスティック、そしてこの日のセットリストの紙を手にしたファンの、あの幸せそうな笑みが、清々しい顔でハイタッチを交わすメンバーと仲間たちの姿が、この日が最高の一日になったという事を誰が口にするでもなくハッキリと物語っていた。

 

 

 

 [Set list]

THE SEA WILL SLEEP

HEISENBERG

I AM THE EULOGY

WORMS WOOD

IF THOSE WERE GUNS, REGGIE BE DEAD

LONESHARK

THRONE TO THE WOLVES

KARMADILLO

HARTSICK

FEAST FOR THE CROWS

FOR WHAT ITS WORTH

REST ASSURED

 

-ENCORE-

PRIDE LIEONESS

 

 

 

【CHECK IT OUT!!】 "Message to Japanese @ourhollowourhomeuk fans!!" 日本のOur Hollow, Our Homeファンの皆へ、ホームタウンショーの後の皆がメッセージをくれました! THANKS so much for that AMAZING memory tonight.I believe they're coolest band. We Japanese fans hoping that you come to Japan. I always rooting for you all.:) #ourhollowourhome #OHOH #HARTSICK #Southampton #show #UK #JAPAN

あっという間で、夢のようだった。最高な夜だった。

言葉が足りなすぎる気もするが、この日私が感じた想いは全てこの言葉に表すことができると思う。

Our Hollow, Our Home。こんなバンドに出逢え、知り合う事ができ、まさか彼らの地元までショーを観に行く日が来るとは。1年前の自分ですら想像もしていなかっただろう。

メンバー自身はもちろん、この日いた彼らの仲間達や大切な人達、家族、チーム、皆が愛に溢れた素晴らしい人達だったことを改めてここにも記したい。

今年の夏には幾つものフェスへの出演も決まり、リリース後のEUツアーももうすぐスタートする。きっとこの2017年、彼らは更なる大躍進を遂げるだろう。間違いなく、そう実感するような素晴らしいショーだった。

これまでの作品はどれも完全にバンドの自主リリース、Paypalが主流化していない日本からではなかなかその音源を手に取る事ができないファンや、彼らの存在を知らない音楽ファンもまだまだ多く存在するだろう。

是非とも、今作HARTSICKを含め、今後の彼らの活躍にも注目してほしい。

 

Hartsick

Hartsick

  • Our Hollow, Our Home
  • メタル
  • ¥2400

//Redefine

//Redefine

  • Our Hollow, Our Home
  • メタル
  • ¥750

 

I deeply appreciate you all Our Hollow, Our Home. I always rooting for you, forever.

With LOVE.   Thanks,

 

all photos and text by Marina Isami Tashima

 

 

Impericon Festivalが今年もスタート

ドイツの大手マーチサイトImpericon主催のフェスティバルが今年も開催。

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オーストリア、ドイツ国内数都市、スイス、イギリスのマンチェスターの計4ヶ国6フェスティバル。

 

Impericonの本拠地であるドイツのライプツィヒ公演が先週末に開催され、大盛況だったよう。

また、今年はオフィシャルのFacebookライブ配信もしているので、日本にいるファンも是非タイムリーな情報をチェックすることをオススメします。また、オフィシャルのページに飛べば、現在もタイムシフト動画としてライブ映像を観ることができます。

 

現地にいるWalking Dead On Broadwayのメンバーが様々な出演バンドと仲良く過ごし、速報を教えてくれたので行きたくてたまりませんでした…。

 

残り3公演が月末に控えているので、続報が楽しみです。

 

ドイツは大きなメタルフェスが沢山あり、それぞれの特色が出てとても面白いのでチェックしてみてください。

BAD WOLVES始動!!

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Westfield Massacreのフロントマン、Tommy Vextの新プロジェクトがいよいよ公開!

 

発表と同時に1st Single"Learn To Live"のティーザー映像も公開されました。

 

元DevildriverのDr.John Boeklin

God ForbidのGt.Doc Coyle

元Bury Your DeadのGt.Chris Cain

そしてVIMICのBa.Kyle Konkiel

という実力者揃いのバンド。

 

Docとはよくセッションでも一緒にプレイしている姿を目にしていたので、彼との新プロジェクト始動はとても楽しみ。

公開されたティーザー映像だけでも、もうその実力がひしひしと伝わってきます。

 

楽しみな1stシングルは5月1日に公開です。

イギリス遠征を振り返って

4月の5日夜から2泊3日4日間のイギリス旅へ行ってました。

 

今回も様々な出来事がありつつも無事に帰国。

今のところ次回の海外での取材予定のメドが立っていないのですが、次に繋がる大きな経験をさせていただけました。

 

 日本のファンへのメッセージ動画も撮らせてくれたATTILAのVo.Fronz

【Message to Japanese fans】CHECK IT OUT JAPAN @attila_ga fans!! AWESOME message from @fronzilla . It was an honor speaking with you in Manchester show. HUGE THANKS.ATTILAのFronzから日本のファンへメッセージをいただきました!最高です。#ATTILA #fronzilla #CHAOS #StaySick #manchester #UK #japan #message #staysickthreads

ATTILAの撮影、そしてVo.Fronzへのインタビューをやらせていただきました!

About That Life

About That Life

  • Attila
  • メタル
  • ¥1050

昨年、アルバムCHAOSをリリースしたATTILA。日本のiTunesには該当作が無いので、私の中で特に印象の強かったこの作品を。

ご存知、デスコア×ラップのスタイルが出来上がったのって彼らじゃないかって言われてますもんね。

異端児?一世風靡?そのどちらの言葉で表現しようとも、彼らの残してきた業績は素晴らしくポジティヴ。お騒がせ要素も多い印象がありましたが、等身大でファンや周りの人々とも触れている彼らならではなのでしょう。

そんな、全米のみならずヨーロッパやこの日本でも人気のある素晴らしいバンドに今回関わらせていただきました。

 

6日の昼過ぎに到着したロンドン、入国審査もすんなりと終わり(毎回そうなのですが、入国審査で厳しい事ってあんまりなかったです。ドイツがテロ直後だったから厳しかったかな~ってくらい。こんな時だけ、自分の日本国籍と童顔に感謝する)少々遅れながらもマンチェスターへ出発。

 

飛行機の遅れで予定していた列車のチケットがラッシュの時間帯とかぶり倍額以上に。そしてマンチェスターに着いたらついたで、予約していたホテルのドアが開いておらず途方に暮れる始末。列車の中では出国前からの体調不良による猛烈な吐き気に襲われながらも、急遽決まったATTILAへのインタビューの質問を必死に考えていました。今回はATTILAの撮影許可を得る為に3人の方から了承をいただきました。数々の米国内アーティストのPRESS権を持つ事務所を設立したエイミー、Nuclearのデスコア系バンドを総括するマネージャーのマーカス、そして今回のUKツアーマネージャーのジミー。とても大きなチャンスを与えてくださった事に心から感謝してます。

 

ISAMIMHZ は筆者1人で現在まで活動している媒体です。

スケジュールの組立、申請書の作成、メールでの打ち合わせ、インタビュー、現地での撮影/取材、翻訳、レビュー作成、発注、発送、報告。全ての作業を私一人で行っております。時々、なんじゃこりゃ~というような処理量に追われながらも、とりあえず現時点ではチーム化する予定もなく1人で続けていこうと思っています。(でも真剣に翻訳こんにゃくと酸素カプセルが欲しいです)

1年前に活動を始めてから、ノンストップでここまでやってきました。達成できたことは少なかったかもしれませんが、少しでも誰かに楽しんでいただけるものを書けたのなら幸いです。

できない、ではなく"どうやったらやれるのか"。

いつもPRESS権を得る時は8個くらいルートを考えます。それでもダメだった場合は、まぁ縁が無かったと諦めるしかないでしょう。

 

行きの特急列車の中、ツアーマネージャーさんと連絡を取り恐る恐る今日のインタビューのアンサーを尋ねると

『Fronzだけどどうかな?他のメンバーも必要?』

列車の中でガッツポーズです。Fronzは最近読んだAPのインタビューも素晴らしかったし、StaySickのレーベルバンドからも兄貴のように慕われている人物でとても個人的に注目していました。そのビジネス視点に関してはかなりリスペクトしている人物でもあります。

『他の方も出てきて下さったらこちらとしてはとても嬉しいですが、出番前で皆様お忙しいと思うのでお任せします。それにFronzは個人的にとても尊敬している方なので凄く嬉しいです。本日はよろしくお願い致します』

そう返信し、急いでFronz用にインタビュー原稿を書きなおしました。所要時間1時間くらい。よくその準備状態で行けたよな…と振り返ってみて思います。

とにかくその時の私は、もう決まったことだから腹括っていこう!と自分に喝を入れている状態でした。こんなチャンス、私には滅多に訪れない。やってみなきゃわからないじゃないか。

 これまで私は自分の流暢ではない英語力に、現地でのちゃんとしたインタビューは断るか最初からやらないようにしていました。伝わらなくて相手に迷惑をかけたらどうしよう…ちゃんと話せる自信が無い…。先日のChelsea Grinの際も、Vo.のアレックスへのインタビュー許可が出たのは当日のミーグリ10分前。いやそんな急には無理だ…何も出てこない、言葉がまとまらない…。焦った結果、彼とは雑談と動画と写真撮影をお願いするだけになってしまいました。これがネイティヴだったらもっとスラスラ出てくるんだろうなぁ。悔しいなと思ったり。Fit For An Autopsyの時も『インタビューとかどうする?』と、わざわざパトリックが提案してくれたにも関わらず『私喋るの下手だから…』と遠慮してしまったり。だからもう今回は何が何でもやってみようと思いました。

 

まさか私の初のオーディオインタビューの相手がFronzになるなんて。実際、途中何度か言葉に詰まって、『ちょっと待ってね…えっとごめんなさい』と言う私にとても寛容で、優しい人でした。これまで彼が受けてきた日本のインタビューに比べると、内容も浅い雑談のようなものになってしまったかもしれませんが、しっかりと答えてくれたFronzに感謝しています。

『大丈夫だよ!だって俺なんて日本語全くわからないし話せないんだぜ?』

Chelsea GrinのAlexや、Our Hollow, Our Homeのメンバーも言ってくれたこの言葉。

『英語スラスラ話せないなら喋んないでくれる?』

と言われる事も何度かあった海外の地で、デスコアやメタルコアの一見怖そうなイメージの人達の優しさに何度救われたことか。

 

先月のChelsea Grin、ポートランド公演ではVo.のAlexが日本のファンへメッセージを。

彼もとてもファン想いで優しい人でした。SOF、楽しみですね。

【CHECK IT OUT!!】 "Message to Japanese Chelsea Grin fans!!"日本のChelsea Grinファンの皆へ、VoのAlexがメッセージをくれました! SOFでの初来日をお見逃しなく!! Thanks so much for that AMAZIG opportunity @akgrin from @chelseagrinofficial . I also can't wait to see your show in JAPAN. I'm greateful to have met you all:) See you again this June!! Take Care.#ChelseaGrin #SelfInflicted

そして、インタビューのような難しい長い言葉を並べる英語を使う時でも、私の発音でちゃんと通じたんだ…という事が、個人的には凄く自信になりました。もっと勉強して会話の中でもひと笑い誘いながら、アーティストと観ている人と、皆が楽しく観る事の出来るものを創りたい。そう思いました。

 

イギリスに行く前、色々な事で落ち込んでいました。

日本のみならず世界中の多くの人から寄せられる首を傾げるようなリクエスト、タダなら読むと言われてしまう私の書くもの。そしてバンドの為にも、もっと大きな色々な場所に掲載しようと試みるものの、無視をされたり無償を強要される環境。仲介や頼み事はされるけれど、私自身に何か返ってきたことはほぼなく、他者の利益にされていくバンド達。どうしたらいいんだろうと思った時に、今回の出会いがありました。

無いなら0から作ればいいじゃないか。エイミーは15歳の頃から多数のライナーノーツやインタビュー/レビューを書き、女性1人で現在の地位に就いたフリーライター。そしてFronzも、ATTILAはもちろん自分のブランドやレーベルを0からココまでの知名度に上げた人物。今は誰も見向きもしてくれないかもしれない、でもこれまでも一生懸命に声を出し続けていたら振り返ってくれた人が何人もいた。きっとその積み重ねなんだろう。

日本には無い視点だから厳しいよ…と、よく言われる。

でもそんなの誰が決めたんだろう。

厳しいのはわかってる。国外と国内の違いは、もう結構いろんな場所で経験してきた。

でも今こうやって現役で頑張っている仲間達がいつか、バンドを辞めて"関係者"となった時に。その時も一緒になにかやっていける関係を築いていきたい。

今も昔も、バンドの知名度の大小に関わらず。

私が聞きたいことを聞くし、彼らが日本の人に届けたい言葉を届ける。

ISAMIMHZ はこれからもそんなコンテンツであり続けようと思う。

今は多くの人の目に留まらなくても、これからは日本から海外へと目線も移しつつ、地道に育てていけばいいんじゃないかな。

 

日本のラーメンが人気のようです…。

Fronzにインタビューをしている際に、日本を訪れた印象を聞いてみました。

すると彼、ラーメンがとても気に入ったそう。

あれ…?そういえば。先月のアトランタで会ったAfter The Burialのメンバーもラーメンが食べたいと言っていたし、Upon A Burning BodyやBorn of Osirisのメンバーも『日本のラーメンが恋しい』と言っていたっけ。Chelsea Grinのメンバーも弦楽器隊が驚くほど細いんだけど、『日本の料理食べるの楽しみ~』と言っていたので、是非たらふく食べていただきたい…。

日本はご飯が美味しいよね。と、来日した経験のあるバンドにはほぼ98%くらいの確率で言われるんだけど、日本ってこの多種多様な楽しみ方のある食文化は本当に誇れると思う。(私はアメリカに行く度に、もれなくお腹を壊して帰国しています。本当に味が濃すぎる…)

まぁ、最近来日公演をお手伝いした際には、必ずメンバーにヴィーガンベジタリアンがいる確率が高いので、ラーメンなんて食べに行った事なかったのですが。

 是非とも皆来日の際にはラーメンムービーやVlogの更新を。楽しみにしてます(笑)

 

話は戻してFronzとの会話中、彼が私に聞きました。

Fronz(以下 F)『ねぇ、キミはラーメン好き?』

M『大好き!あ、でもFronzは東京やその近辺でラーメン食べたんでしょう?』

F『そうだね!でも色んなお店に行ったし、どれも美味しかったよ』

M『私の生まれた地方、日本の西の方のフクオカって所なんだけど、そこって東京とラーメンの味がちょっと違うんだ』

F『へぇ!ちなみにね、俺一番好きなのトンコツってラーメン』

M『えっ本当!トンコツラーメンって私のホームタウンが発祥の味だよ!』

F『マジで!えっ超ヤバい、最高!日本ツアーで行かなきゃだね』

豚骨ラーメン発祥の地出身と聞いたFronzのテンションがMAXに(笑) この後、迎えに来たベースのKalanにまで『聞いてくれよ!彼女の故郷がトンコツラーメンのできた街なんだって!最高だよ!』と言い出すくらい。

Kalanもとても丁寧で感じの良い人でした。それから、どうしてもフロントマンのFronzが目立つ立ち位置にいるけれど、ギターのChrisって凄い人なんだなぁって思ったり。

この日私が楽屋を訪れた際、『あっ、日本から来てくれた子ってキミ?』と一番に声を掛けてくれたのもChris。日本から来た…というのをメンバーもスタッフも全員が知っていてあんな風に歓迎してくれたのも、普段からATTILAを愛し日本からサポートしているファンの人達や、関係者の方々が居てくださったからこそだと思っています。

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Fronzとはとある約束もしたので、いつか実現できたらいいな。叶えられるように頑張ろう。

 

 

帰国直後に普段の仕事に復帰したものの、私が胃潰瘍と胃腸炎に掛かってしまいパソコンに向かうのもテープ起こしをするのも困難な状況だったため、レビューやFronzのインタビューの掲載が遅くなってしまい、待ってくださっている皆様すみません。

この雑記も、帰国中の飛行機の中で書いていたものを10日ほど経った本日、ようやく書き起こす事が出来ました。その他のインタビューやレビューも体調が戻り次第書く予定です。もうしばらくお待ちくださいませ。

 

 

パスポートの盗難!慌てて旅券発行手続き、からのサウサンプトン

翌日、マンチェスターからロンドンに戻りさぁメインのサウサンプトンへ!と思った時に異変に気づきます。

……パスポート盗られてる!!!涙

PRESS参加の際に必ずエントリーパスを渡されるのですが、まさかのバンドアクセスパスの入ったケースと一緒にどろん。(ちなみに前日は受付でパスを襟元に貼られたため、パスケースはカメラバッグの内ポッケの中へ入れジップも締めていました)

金曜日のお昼12時。ここで焦って泣いたところで、イケメンブリティッシュが助けてくれるのは漫画の中だけです。ブサイクは黙って急いで"パスポート 旅行中 盗難"をググりました。駅の警察に行き、ピカデリーの日本大使館へ。大使館の開いてる平日の昼に気がついてよかった!! パスポート番号と帰りの飛行機のチケット控えを持っていたので、あとは出せる身分証全部出してなんとかなりました。身分証明の為に、日本は夜なのに大使館からの電話に出てくれた実家のばあちゃんと母さんに感謝(泣) 再発行(帰り片道分だけパスポートの代わりをしてくれるもの)をする際に写真撮影をするため写真館へ行ったのですが、おかげでバッキンガム宮殿の真横を通ることができました…。

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今度はもっと穏やかな気持ちで眺めたいのでリベンジ必須です。また来ようイギリス…、次はベーカー街(シャーロック・ホームズの舞台)やホワイトチャペル(Whitechapelの由来となった切り裂きジャックの現場)に行きたいものです…。

 

 

Our Hollow, Our Homeと初対面!

今回の旅のメイン!サウサンプトン出身のメロディックメタルコアバン

Our Hollow, Our Home

Hartsick

Hartsick

  • Our Hollow, Our Home
  • メタル
  • ¥2400

彼らの初フルアルバム"HARTSICK"のツアーファイナルを目的にイギリスへ来たのです!

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サウサンプトンタイタニックが出港した港町。

街中には歴史を感じる建物が幾つもあったり、市場があったり…。

(絶対またゆっくり来よう!泣)

 

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開場時間をとっくに過ぎて到着した会場のThe Joiners

 

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感想は……最高でしたっ!!

 

その一言に尽きます。メールや配信でしかやりとりしていなかったメンバーとようやく会えて(そして予想通り全員デカい)、話して、そのショーも観る事が出来て。

 

数年前にYoutubeでたまたま見かけて以来、ずっとずっとカッコいいなと思っていたのが彼ら。それからメンバーは少し変わってしまったけれど、あの曲もこの曲も、聴きたい曲は全て聴けたし。予想以上にかっこいいライブで大満足でした。

この日ステージサイドで彼らをサポートしていたShieldsのサムとも仲良くなり、楽しすぎてラストのMV撮影では5年以上ぶりにダイブしました(笑) きっと使われてないと思うけど。

撮影したHARTSICKのMV。5月には公開されるかと思います。既に未編集のカットが激ヤバだったので、公開が今から待ち遠しいです。

 

1年前、このインタビューや音楽ライターという活動を1人で立ち上げて始めた時に、勇気出してVo.のコナーに話しかけて本当によかった。

もちろんその音楽、バンドの実力としても最高でしたが、何より人が良い。

 

これまで、沢山のバンドと海外で出逢ってきました。もちろん色んな人がいて。多くのバンドはとても優しい人達でしたが、予想外の洗礼を喰らう事もあったり(苦笑) そんな中で元々思い入れが強かった事もあるけど、彼らと一緒に過ごして話す事ができた時間は格別でした。

 

終わった後にコナーとトビィに呼ばれ

『マリナに渡したい物があるんだー!』

手渡されたのはHARTSICKレコード盤のジャケットにメンバー皆から寄書きをしてくれたもの。

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マネージャーのマイクが皆に提案してくれたそうで、マイクやスタッフと話している終演後にこれをコソコソ彼らが書いてたんだなぁと思うと頬が緩みます。それをニコニコしながら渡してくるコナーに思わず涙が出そうに。

 一生大切にする!宝物にするね! と言ったら笑ってました。

 

 

 彼らも日本のファンの人達へメッセージ動画を…って私へのお礼は言わなくてよかったのに(笑) 本当に優しい人達でした。

【CHECK IT OUT!!】 "Message to Japanese @ourhollowourhomeuk fans!!" 日本のOur Hollow, Our Homeファンの皆へ、ホームタウンショーの後の皆がメッセージをくれました! THANKS so much for that AMAZING memory tonight.I believe they're coolest band. We Japanese fans hoping that you come to Japan. I always rooting for you all.:) #ourhollowourhome #OHOH #HARTSICK #Southampton #show #UK #JAPAN

 

半年間に及ぶ、弾丸海外取材遠征もこれにて一旦一区切り。その最後が彼らで本当によかった。心からそう思います。

 

過密スケジュールの為、現地で食事をとったのはホテルの朝食2回と帰国直前の空港のレストランのみ。まぁいつもそんな感じでしたが。

 

これまでの経験をただ

「皆と仲良くなれてよかったなー」

というものにするだけではなく

この先に繋げていきたいなと思います。

 

最初に書いた通り、家庭の事情や夜勤先の解散により今後は海外へコツコツ行く事が難しくなりました。

もしまた次行く機会があるのなら、余裕持って寝たり食事できるくらいの時間は作ろう(笑)

 

まだまだ私自身や、このウェブログに関しても、とても知名度が低いです。

 

伝えたいバンドや、その人達の言葉を、十分に届ける事ができていません。

 

でも今回のイギリスを経て。

まだまだやれる事は沢山あるから諦めず続けていくこと、その大切さを改めて教わった気がします。

 

 

 

私からも同じ言葉を彼らに。

 

"これから、一緒に世界を見に行こうね"

 

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Marina Isami 

(追記)2017年版 クラウドファンディングスタート

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はじめに、Rock On The RangeのPRESS最終選考の書類提出締切まであと1週間を切っておりますが、家族の事情によりこちらへの参加がとても難しい状況となりました。

その為、せっかくいただいた選考枠ですが、今回は辞退する方向で考えております。夢の様な大舞台に挑戦してみたい気持ちはとても強く、今もまだ少し諦めたくないと思っているのが正直な気持ちです。応援してくださった皆様、担当者様、本当に申し訳ございません。

 

Rock On The Range辞退致しました。

このフェスの写真や記事を見たい!と応援してくださった皆様、大変申し訳ございません。

 

 また、四月後半のimpericon、5月のRock On The Range、6月のWith Full Forceの全てのPRESS枠も辞退させていただきました。

誠に申し訳ございません。

 

 

昨年に引き続き、今年もインタビューとレポートをまとめた冊子を制作予定です。

(2016年版ですが、現在とある依頼の仕事を優先して行なっており制作が遅れております。また諸事情により一部使用できない写真や記事がある為、その点を確認中です。パトロンとなってくださった皆様、お待たせしてしまい申し訳ございません。引き続きよろしくお願い申し上げます)

 

 

 

その為2017年版の制作に伴い、新たなプロジェクトを一点発足しました。

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2017年版 インタビュー/レビュー本制作プロジェクト(WOAに挑戦したい!) - CAMPFIRE(キャンプファイヤー)

今回、突然ですが身の回りの環境が変わり、皆様のサポート無しではWacken Open Airに参加することが不可能となってしまいました。どうかお力を貸していただけますと幸いです。

 

(この四月より、家族の病気の為私1人で5人全員の生活を養う事になりました。補償制度では到底追いつかず、また補償制度を利用する為にも何ヶ月も申請に時間がかかる為、精神的に私自身がおかしくなりそうなほど毎日どう生きていくかを考えています。多くのバンドや日本の人からもリクエストいただき、なんとかして叶えたい気持ちはあるのですが、現実的にどう頑張っても不可能な事が多くお断りしている現状です。本当に申し訳ありません。)

 

今回、仮に多額の資金が集まった場合は、今年とあるバンドの来日公演を叶えようと思っているので、彼らの来日資金として使用させていただきます。(交渉はしているので、もし資金が集まらなかった場合は私が自腹でなんとか呼ぶ予定でしたが、今回の仕事や家族の事情の変化によりこちらも自腹で呼ぶ事はかなり難しくなってしまいました…)

 

まだ諸事情によりそのバンドの名は明かせませんが、絶対に間違いない事案なので合わせてサポートしていただけますと幸いです。

 

 

もう一点のバンドとのコラボプロジェクトはまた別途、4月〜6月頃に設立できるかと思います。

 

 

 

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昨年公開したインタビュー総数は11本、戻しの来なかったものを合わせると全部で18本のインタビューを行いました。

 

今年は既に11本のインタビューを終え、依頼も合わせて20件以上のインタビュー、それとはまた別に取材も決定しております。この先の発表も、どうか楽しみにお待ち頂けますと幸いです。

 

プロジェクトに記載したような事情もあり、この4月末より海外公演への取材数が一気に減ります。しかしまだまだ活動自体は続け、多方面への取材やサポートへと広げていきたいと思っております。

 

より多くの海外の仲間達の声と、その音を1人でも多くの日本の人達へ。

 

いつも応援してくださる皆様、本当にありがとうございます。まだまだISAMIMHZは頑張ってまいります。

 

引き続き、ご支援いただければ幸いです。

 

皆様どうぞよろしくお願い致します。

After The Burial "The Carry The Flame Tour" Atlanta Show REVIEW

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忘れもしない、2015年の夏。そしてそこから返り咲くかのように、突如その秋に発表された"Lost In The Static"という曲。2016年の2月19日に最新作Dig DeepをリリースしたAfter The Burial。間違いなくこの作品は、これまでの彼らの名に恥じぬ最高のアルバムであり、彼らの表舞台への帰還を心から喜んだファンも多かったことだろう。2016年内に数本のツアーをこなした彼らが、遂に2017年EMMUREとのヘッドラインツアーをスタートさせた。

 

実は前回彼らのショーを観たのは、昨年開催された所属レーベルSumerian Recordsの10周年ツアー。フルセットでの彼らのショーをどうしても見たい、と都合の合う日程を調べチケットを購入したのは昨年末の事である。その後同日にFit For An Autopsyが出演するという事を知り、結果的に取材での参加が許可されたこのアトランタ公演。他のバンドの事が一切目に入らず即決でチケットを購入して行く事を決めた私に、海外に住む友人達が呆れたように笑っていたのを覚えている。

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ツアーのセミファイナルとなった、3月22日アトランタ公演。4バンドのステージが終了し、残るはトリのAfter The Burial。既に転換中のステージセッティングを見ながら感極まっていた私を見て、仲良くなったセキュリティの会場スタッフが笑っていた。

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会場が暗転し、地響きのようにドスのきいた歓声が飛び交う。以前見た10YEARSでも感じた事だが、彼らのショーになるとフロアの8割が暴れる準備万端とギラギラした男性陣で埋め尽くされるような気がする。そんな硬派で危険な、まさに一番の武器は自身の放つ音だと言わんばかりの印象を受けるAfter The Burial。嫌いじゃない、寧ろこの空間こそ私の大好きな場所だ。

Danがドラムセットの前に座ると、静かな前奏が流れ出す。それに合わせゆっくりとベースのAdrianとギターのTrentがステージに登場。印象的な音色のギターソロをTrentが紡ぎ始め、Dig Deepの代表曲とも言えるLost In The Staticがスタート。叩きつけるような轟音の中、ヴォーカルのAnthonyがゆっくりとフロアを睨みつけるようにステージ中央へ現れる。歌い出しからファンが一斉に合唱し、フロアはトップギアをいきなり入れたかのような盛り上がりを見せた。しかし、ここで1曲目のサビ終わりに突然曲が止まってしまう。

『ヘーイ!どうしちまったんだ!?』

Anthonyの声にステージの後方からDanが『同期がオチた!』と叫び返す。

人懐っこさのある新メンバーAdrianはあちゃーと困ったように笑い、Trentは呆れたように肩を竦めている。

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機転を利かせたAnthonyがここで『本当にあった、真実の"クソみたいな"話』を披露しフロアが爆笑と失笑とFワードに包まれる中、Danはテックスタッフと一緒に必死に同期機器を回復させていた。

『よし、もうイケるそうだ。…ところで、俺入場するところからやり直していいか?』

Anthonyの言葉にまたもやファンは爆笑。Lost In The Staticが前奏からしっかり演り直される中、轟音に合わせて再び恐ろしい顔を作りながらゆっくりと登場するAnthonyがカッコよくもあり、また一際シュールな光景でもあった。"Make some Noise!!"そう叫ぶAnthonyに応え、多くの声と共に手が挙がる。

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そのまま目まぐるしいテンポの変化が襲い掛かってくるDig Deepの1曲目Collapseへ、ひっきりなしに駆け抜ける音とは別にメンバーはお立ち台の上に仁王立ちしている姿がまた迫力満点。Anthonyの低く迫力のあるシャウトも合わさり、さっきまで笑顔を見せていたメンバーが嘘かと思うほどそのステージはバケモノじみている。動きが特別派手なわけでも、何か特徴のあるパフォーマンスをするわけでもない。静と動、その中でただひたすら音が襲い掛かってくる、鳩尾にストレートを打ち込んでくるかのように響く、この音圧のバケモノっぷりがたまらない。

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『準備はいいかお前ら!クラウドサーフ!クラウドサーフだ!』ドゥーンという独特なダウン気味の機械音からリズミカルなドラムと共に始まったのはAnti Pattern。曲が始まるとそこはまるで地獄絵図、目がチカチカするような激しい明暗のストロボライトの中、止まることなくクラウドサーフが乱立。慌てたセキュリティがステージ前に隙間無いほど集結する事態となった。これはもう柵の前で撮影どころではない、セキュリティに腕を掴まれ安全なサイドで待機させられることに。メインのギターリフやソロがとてもかっこいい曲だが、フロアの荒れ具合は尋常ではない、思わずAnthonyも笑顔で"Holy shit!"と洩らす。

『最高だなお前ら、皆手を挙げてくれ!調子はどうだ?俺達はミネソタ州ミネアポリスのAfter The Burialだ。いいね、今日はもう滅茶苦茶になって暴れて楽しんでくれ。まだまだ今日はお前らに聴かせたい曲があるんだ、次の曲が始まったら全員でモッシュだ、隣の奴を押しまくって…そんでもってこの会場全員もみくちゃになって友達になってくれ、いくぞ!』

Troublesが始まると一斉にフロアでは皆が笑顔で隣と押し合い、波のようになる。うねるように押し寄せてくるAfter The Burial特有の分厚い低音と、時折混ざり合ってくるTrentのカン高いギターのメロディが良いエッセンスとなって、情報量の多すぎるような細かくてヘヴィな重低音の中でも飽きがこない。そのまま、暗闇に光が差し込んでくるような美しく明るい音色のギターソロから始まるAspirationをプレイ。

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『全員跳べーっ!!』Anthonyの合図でオーディエンスは一斉に高くリズムに合わせジャンプ、前奏の優しいメロディは何だったのかと思うほどのガリガリとした切り刻むようなカッティング、そこからのギターソロという展開はもう感動モノ。Anthonyの力強い声も見事にマッチし、Danのパワフルなドラミングもその展開をしっかりと支えている。ラストのパートではモッシュピットがさらに巨大化し、無法地帯と化していた。

『本当に最高だな、最高な夜だよ。皆来てくれてありがとう。次はDig Deepからまた1曲演ろうと思う、ツーステップ、サーフ、皆で飛んで跳ねて、リズムに合わせてスラミングだ。無法地帯にしてくれ』

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ロディアスな前奏からDelugeがスタート。これまでのAfter The Burialの楽曲からすると、ややメロディのパートが多いようにも感じるだろう曲だがこのギターのメロディがまたニクい。個人的にDig Deepの中でも特に気に入っている1曲でもある。それが映えるように下をしっかりと支えるベースのリズム、そして思わず手を挙げリズムをとったり踊り出したくなる曲調とAnthonyの煽り、Adrianの楽しそうなプレイがまた微笑ましい。Danのびしりと叩きつけるシンバル音と大歓声と共に曲が終了、会場はここで一旦真っ暗に。

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暗闇の中、穏やかなギターの音色が流れるインスト曲Pi(The Mercury God of Infinity)が。そして再び静けさが訪れると、今度はステージ上にセットされたライトがチカチカと点滅、両サイドのお立ち台に上り打楽器のような音を奏でる弦楽器2人。まるでショーのように色鮮やかに繰り広げられるライトの中、再びAnthonyが登場しA Steady Declineをプレイ。近年の作品に見られる彼のヴォーカルスタイルからすれば、珍しいグロウルのようなパートもあり聴いていて新鮮。楽器隊が目立つバンドでもあるが、やはり彼でないとAfter The Burialのヴォーカルはつとまらない。ブレイクダウン、そして全員がジャンプするリズミカルなパート。フロアは休む暇なく、ピットの中にも人が溢れていた。

『皆ありがとう。そしてこのツアーをサポートしてくれた仲間達、バンドの皆にも感謝しているよ。ちょっと古い作品から2曲やったけど次の曲もまた昔の作品からだ、皆一緒に歌ってくれ。次の曲は…Fingers Like Daggers

サビではオーディエンスが手を挙げ、大きくシンガロング。再び曲調が激しいものになると、モッシュピットの中の動きも更に加速する。この曲でも再びAnthonyがグロウルを披露し、変拍子とはまた一味違うひたすら速いDanのドラミングがまた素晴らしい。

そしてここでふとあることに気がついた私はカメラを抱え、モッシュピットの勢いが直撃する前列付近へ。そう、Trentが見覚えのあるグリーンのギターを弾いていたのだ。

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わかる人には一目でわかったと思う、彼がこのグリーンのIbanezをステージで弾いているということがどんな事なのか。耐えられずにカメラを降ろしぼろぼろと涙を流す私に、『大丈夫?どこかぶつけた?』と聞いてくるモッシャーの皆が優しかった。

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『皆今日は本当にありがとう。あと残り3曲だ、3つのアルバムから3曲だ。準備はいいか?サークルピット、もっともっとだ!まわれ!!』

目を見張るほど速いギターリフからスタートするBerserkerだ。その展開は驚きの連続でしかない。この曲を昔ネットで見つけ、何度も夢中になって観たのを思い出していた。今はもうステージにいるギタリストはTrentただ1人。兄弟のようにフザケながらバカテクプレイをさらりとこなす2人の8弦プレイヤー、その光景を見るのが大好きだった。しかしTrentに重なってもう1人の姿が浮かんでくるような、不思議な気分になる曲だった。中盤のダンサブルなパートではメンバーもステージ上で跳び、それに合わせてフロアも大きく波打った。ここでまた魅力的なギターリフからスタートするCursing Akhenatenをぶちかます。ダレる部分の一切ない、攻めに攻めた選曲の数々。手拍子、ジャンプ、ヘッドバンキングモッシュピットで暴れている者だけではない。ステージから放たれるエネルギーに全力で返すオーディエンスの姿がまた凄まじい。

『ありがとう。皆と一緒にここでショーができた事、そして皆が来てくれた事が心から嬉しい。これまでの一ヶ月間、サポートしてくれたバンドの皆と仲間達にも本当に感謝してる、皆本当にありがとう。最後にあと1曲、あと1曲だ!皆声出してくれ!』

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大歓声の中、彼らの代表曲の1つA Wolf Amongst Ravensがスタート。バンドのテンションやパフォーマンスもだが、ここにきてなおモッシュピットの勢いは止まらない。壮大な曲調の中、細やかな鋭い音が鳴り響く。激しくもあり、それでいて少し悲しさを含むような独特の音色、脳を直接揺らしてくるような音達。

『皆ありがとう!俺達がAfter The Burialだ!!』

Anthonyやファンへお礼を言うAdrianの声がかき消されるほどの大歓声の中、メンバーはステージを一度後にした。

 

 

すぐに起こった大音量のアンコールの中、再びメンバーがステージに姿を現す。

『よっしゃわかった、ワンモアだ!もう一曲、演らせてもらうよ。皆本当にありがとう。そして今からやる曲は俺達にとって本当に特別な曲なんだ。Dig Deepに収録されている曲だ。この曲を演する度に感じてほしい。そう、俺達のもう一人のギタリストJustinは"永遠に"俺達の曲の中に生きている、ずっと存在してるんだ』

Justinの名前が出ると、会場が一気に沸いた。そう、確かにDig Deepの中で1曲、不思議な曲があった。少なくともあのアルバムを手に取り、初めて聴いた時私はそう感じた。それがこのLaurentian Ghostsという曲だ。激しい曲調、Anthonyの力強い咆哮はそのままに、ゆったりとした哀しく儚い音色が含まれている。Ghostという言葉の含まれたタイトルや切なさを感じさせる歌詞に、憶測でしかないものの色々と考えてしまっていた曲を、この日のアンコールで初めて目の前で観ることができた。これまで、彼らの口からショーの中でJustinの名を聞くことはなかったように思う、少なくとも10YEARS IN THE BLACKの時はそうだった。冒頭のトラブルの際にAnthonyが語ったフザケ話の途中でも『俺達のギタリストのJustinがさ、』と当たり前のように笑顔で語る姿に、ドキリとしたものだ。きっとこれはフルセットのライブでしか聴くことのできなかった曲でもあったんだろう。最後の最後に更なる大きな感動をファンの心に焼き付け、After The Burialのショーは拍手と歓声の中、メンバーのにこやかな笑顔と共に終演した。

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【Set List】

・Lost In The Static

・Collapse

・Anti Pattern

・Troubles

・Aspiration

・Deluge

・PI

・A Steady Decline

・Fingers Like Daggers

・Berserker

・Cursing Akhenaten

・A Wolf Amongst Ravens

[encore]

・Laurentian Ghosts

 

 

 

After The Burial。私の最も大好きなバンドの1つでもある。

その実力、音楽性は間違いなく他と一線を画しており、初めて生でショーを観た時、その凄さに思考が完全に停止してしまっていたほどだ。

レビューの中でも触れたJustin Loweという人物は、Trentと共にこのバンドを作り上げた名ギタリスト。これまでの作品のプロデューサーもJustinとTrent自身がつとめてきたと聞いている。8弦が2人?しかも色が凄い、曲も凄い、ギャグにも全力…一体何なんだこの人達は。そんな印象があったのを覚えている。そんな彼は2015年の7月下旬、突然この世を去ってしまう。愛するバンドのメンバーが亡くなってしまう事は、これまでにも何度か経験してきたが、Justinの死はその中でも特に悲しくて悔しいものだった。

 

好きなバンドのショーを観る事を「一生に一度でいいから」と願っていたほど、音楽の現場とは縁が無かった昔の自分。こうして大人になり、数々のショーを観に行くようになり、現場に関わる身にもなった。遅かった…とは言いたくない。けれど、どれほど努力しようと私が大好きなツインギターの揃った姿を目の前で観る事は一生叶わない。

のめり込む事とはまた違う、神格化するのもちょっと違う。ただ、私が言いたいのは"その人達が好きなら、絶対に後悔だけはしないでほしい"という気持ち。そんな人達の言葉を届け、またバンドからの声を言語の違う自分の国の人達へ届けたい…それが私の今の活動の原点でもある。

 

話は逸れたが、このアトランタ公演の終演後、Fit For An Autopsyのメンバーと話している時に私がAfter The Burialの大ファンだという事を知ったメンバーが、わざわざ彼らを呼びに行ってくれた。その時に聞いた『日本!実は9月に行くんだよ~』という言葉に、思わず大声で叫び散らかしてしまった(笑) 夢みたい、っていうか夢が叶った、After The Burialが日本に来るなんて……、私絶対行くからね!そう下手な英語で一気に捲し立てる私に、そこにいた皆が優しかった事に今改めて感謝したい。

このレビューを書いたその前日、BLOODAXE FESTIVALでの来日がアナウンスされた。実感が湧き、再び涙を流してしまったというのは本当の話。

 途方もない、私達からは到底想像もつかないような困難や苦しみの中から、After The Burialは再びステージへ戻ってきてくれた。昨今、解散や脱退のニュースは後を絶たない。そして海外のバンドが来日する、という事がどれほど大変かは少しだが知っているつもりだ。彼ら自身と全ての人達へ感謝の言葉をここに記したい。

本当に本当に、ありがとうございます。

 

そしてAfter The Burial、私は彼らを知る事ができた事に心から感謝しています。

素晴らしい音を、作品を、幸せな気持ちをありがとう。

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Dig Deepの最後のクレジット。

 

Trentの弾いていたJustinのギター、そしてAnthonyの言葉。

Justinはもういない、そう言う人にこそ今の彼らのショーを観てほしい。音圧やクオリティ等の技術的な面だけじゃない、今でも彼らはJustinと一緒にショーを演っている。彼が遺したモノ、そして彼の魂はAfter The Burialの曲の中に今でも確かに存在しているんだろう。ずっと、永遠に。

 

 

これを機会に、知らなかった人にも是非聴いてみてほしいです。

 

Dig Deep

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Wolves Within

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Forging a Future Self

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In Dreams

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Rareform

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Fit For An Autopsy March 22th Atlanta SHOW REVIEW

 

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Sumerian Records所属のAfter The Burialをヘッドライナーに、EMMUREFit For A KingFit For An AutopsyInvent, Animateの豪華布陣の並ぶ"THE CARRY THE FLAME TOUR"が2月後半から約一ヶ月に渡って行われた。今回私はそのセミファイナル公演、ジョージア州アトランタでのショーに参加。3月中旬に最新作"The Great Collapse"をリリースしたばかりのニュージャージー出身のデスコアバンド、Fit For An Autopsyとコンタクトを取ることに成功し、今回のアトランタでの公演を撮影させてもらえる事となった。

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2014年には結成初期からバンドと共に歩んできたヴォーカリストが脱退、新たに2015年からヴォーカリストJoeが迎えられた。また今回のツアーの前にベーシストのShaneが脱退、新ベーシストとしてPeterが加入し新たなラインナップでツアーがスタートした。アルバムリリース前に公開されたMVはどれも素晴らしく、また一貫して彼らの持つ重苦しいテーマが生々しく描かれた作品でもあった。最新作の完成度も同じく素晴らしいものだったことや今回が初めて観る彼らのショーという事もあり、緊張と期待に胸を膨らませダウンタウンの中を会場へと向かった。

 

彼らの出番はこのツアーの全公演で2番目、マイクチェック中にシャレのきいた言葉を発するGt.のPatrickに、今か今かと待ちきれないファンで前方が埋め尽くされたフロアからは怒号に近い歓声が沸き起こる。そしてステージの照明すらほぼ真っ暗に落とされた闇の中、Fit For An Autopsyのショーがスタートした。

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1曲目は静寂の中不安を掻き立てるかのように静かに鳴り響いてくるギターの音から始まる、Absolute Hope Absolute Hell。2015年に発売したアルバムのタイトルソングでもある、彼らの近年の代表曲だ。曲の中盤では既にフロア中央にモッシュピットが発生、薄暗い中に時折赤いライトが点くだけの照明の演出も相まって、まさに会場内は地獄絵図のよう。間髪入れずにJoeが『次の曲は…』とコールしSaltwoundがスタート。

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パワフルな音が印象的なJoseanのたたみかけるようなドラミングに、一気に彼らの曲に惹き込まれてしまう。もう一人のギタリストであるTimのプレイも丁寧で、しっかりと曲の中でそれぞれの音をまとめ上げている。

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その風貌から、貫禄もバッチリだ。曲の終了と同時に爆発するような歓声がステージへと向けられた。

 

 

『調子はどうだ?良さそうだな皆、俺達はFit For An Autopsy。俺達はつい最近、最新作The Great Collapseをリリースしたけど、聴いてくれたヤツどれくらいいるんだ!?…いいね、最高だ。今から演るのはその最新アルバムの中からシングル曲だ…次の曲はHeads Will Hang

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Joeの言葉と、待ちに待った新曲に会場中のファンが沸いた。ダウン気味のテンポと疾走感のあるAメロのバランスが最高で、観ているこっちの血液が興奮でふつふつと煮えたぎりそうな気さえしてくる。サビではフロアの人々が一斉に手を挙げシンガロング。

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新加入したベーシストのPeterもしっかりとこの雰囲気にハマっており、Patrickと並んで演奏する姿には仲の良さも感じられる。大柄なメンバーの多いFit For An Autopsyだが、その演奏スタイルはシャープかつ攻撃的で完成度がとても高く、別の意味でステージが狭く感じてしまうほどだ。

ここで曲終わりにPatrickが今日会場へ足を運んでくれたファンへ感謝の気持ちを述べ、大きな拍手が彼らへと向けられる。

『よし、最新アルバムThe Great Collapseからもう1曲別のを演るぞ。全力で暴れてくれ。曲名はIron Moon…サークルを拡げろ!』

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Joeの合図でフロアのモッシュピットは更に巨大になり、途絶えることなくファンも暴れまわる。中盤のPatrickのギターソロがまた見事。

『もう少しだけ曲をやってもいいかい?今夜は本当に最高だ、そしてこの先も最高なバンドが皆の前に出てくるよ。この曲は俺の凄く好きな曲で、Thy Art Is Murderとのスプリットアルバムに収録されている曲だ。思うままに皆も一緒に叫んでくれ、ピットの奴らわかってるだろ?デカく、そうだもっとデカくまわれ』

ラストは2016年にリリースされたスプリット作品よりFlatlining。開始早々テンポの良いドラムとギターのリズムにピット内は更に激しくなり、Joeの煽りに合わせ全員が一斉に手を挙げ叫ぶ。流れるようなギターリフから、これまでの彼らの作品と比べると珍しい、よりメロディアスなサビへ。ただ暴れるだけでなく、フロア全体がこのラストへ向けしっかりとまとまっていく光景がまた圧巻だった。

 

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約30分ほどの短いステージ、しかし良い意味で多くのファンの心に間違いなく爪痕を残したであろう素晴らしい時間だった。そして叫ぶような歓声と拍手の中、この日のFit For An Autopsyのステージは幕を閉じた。

 

 

 

【Set List】

・Absolute Hope Absolute Hell

・Saltwound

・Heads Will Hang

・Iron Moon

・Flatlining

 

 

 

Fit For An Autopsyはまさに精鋭部隊という言葉がぴったり、それぞれ素晴らしいキャリアのある実力者が揃ったバンドである。またこのバンドのギタリストであるWill Putneyは名プロデューサーとしてもメタルコア/デスコア界隈で著名な人物。かくいう私自身も、実は彼の手がけてきた作品の大ファンであり、同じく彼が所属している事で知ったFit For An Autopsyは大好きなバンドの1つ。現在はツアーには帯同せず、制作とマネジメント方面で全面的に関わっているようだが、彼の代わりに参加しているTimもまた素晴らしいギタリスト。そしてその創成期からWillと共に活躍していたPatrickも最高のギタリストである。その作風や風格のあるヴィジュアルも相まって、私の中では手の届かない重鎮の一角としてのイメージが強かった。今回勇気を振り絞って送った取材の依頼に快く対応してくれたWill、そして出発前から当日帰路に着くまで心優しく対応してくれたPatrickには感謝してもしきれないほど。いつも思うことだが、国も言語も文化も年齢も違う誰かとこうして出逢い、心を通わせてくれる音楽とはなんと素晴らしいものなのだろうか。まさかこうやってFit For An Autopsyに関わることができる日が来るなんて、私自身想像もしていなかった。

 

『日本の文化が大好きなんだ。旅行では訪れたことがあるんだけど、今度はショーをしに行きたいね』

そう笑顔で語ってくれたPatrickの言葉に、私も心からそう願わずにはいられなかった。

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最新作、The Great Collapseは楽曲はもちろんのこと、そのテーマやジャケットの細部に至るまでしっかりと目を向けてほしい傑作だと思っている。昨今、CDの売れない時代だという言葉をよく耳にするが、新しいアルバムやEPの発売を指折り数え楽しみにし、ようやく自身の手に取った時のあの喜びは他の何ものにも代え難い。確かにダウンロードやストリームサービスは便利だしエコなのかもしれないが、僅かな重さと厚みの中にその何倍もの大切なモノが沢山詰め込まれている。この作品を手にする事ができたことを私は幸せに思っている。是非多くの日本の人達にも聴いてほしい。

The Great Collapse

The Great Collapse

  • Fit for An Autopsy
  • メタル
  • ¥1500

The Depression Sessions - EP

The Depression Sessions - EP

  • Thy Art Is Murder, The Acacia Strain & Fit for An Autopsy
  • メタル
  • ¥750

 

結成からもうすぐ10年目を迎えるFit For An Autopsy、こんな実力のあるバンドが前座として帯同しているこのツアーの規模にも驚いたが、日本の市場ではまだ彼らの名前や曲は息を潜めていると感じる。帰り際に また絶対会いに行くからね、という約束もした。次はアメリカの地かヨーロッパか。そしていつか彼らの願う日本でのショーが叶うことを願いつつ、今後もずっと応援していきたい…とそう心から思った素晴らしい夜だった。